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本記事の筆者 牡丹です。
幼少期~小学校卒業式の日まで場面緘黙症でした。
最近は、メディアにも「場面緘黙症」が取り上げられることが増えてきています。
Youtubeやブログで、自身の緘黙経験談を発信する方も、右肩上りの印象です。
そのなかでも、特に筆者が注目しているのは、メディアに度々取り上げられている「みいちゃん」という10代の女の子です。
場面緘黙症と闘うみいちゃんを支えつつ、みいちゃんの才能を開花させたお母さんの対応に感銘を受けました。
本記事では、みいちゃんの事例をもとにして、「場面緘黙児の才能を開花させるためにできること」を綴ります。
10代のパティシエ みいちゃんとは
場面緘黙症と闘う少女
みいちゃんは、現在、10代の学生さんです。
幼少期から場面緘黙症・緘動の症状を抱えています。
みいちゃんの実際の様子は、Youtubeの動画で観ることができます。
筆者が、みいちゃんの動画を観た際、まるで過去の自分を見ているような感覚になりました。学校で話せない・動けない様子が昔の筆者と全く同じで、「周りにはこんなふうに見えてたんだな」と思いました。
みぃちゃんも、緘黙・緘動がゆえに、「何もしない人」というような言葉に傷ついてきたようです。
みいちゃんの転機
ある時から不登校になったみいちゃんを、お母さんは一生懸命支えたようです。
お母さんは、不登校になった娘に対してただ悲観するだけではなく、「社会とのつながりを絶たない方法はないか」と考え、みいちゃんにスマホを与えました。
それから、みいちゃんは少しずつ「お菓子作り」をはじめ、作ったスイーツをSNS上にアップし、そこで家族以外の人ともコミュニケーションが取れるようになったそうです。
「話す」というコミュニケーションは難しくても、”SNS上のコミュニケーション”は無理のない方法だったのでしょう。
その後、みいちゃんは再び、学校へも短時間ですが登校ができるようになっていたそうです。
「お菓子作り」で才能を発揮
みいちゃんは今では、趣味の域を超えて「パティシエ」として自分のお店も出しています。
10代でお店を経営をしている状況というのは、驚きですね。
お店では、お母さんの協力もあり、みいちゃんの「場面緘黙・緘動」に配慮して、無理なくお菓子を作れる環境作りがされています。
現在は、不定期の営業ですが、地元で人気のお店になっているようです。
場面緘黙症を抱えながらも、みいちゃんはお菓子作りを通して、自分の才能を存分に発揮しています。
みいちゃんにとって、学校での自分とは違い、「自分の才能を発揮して人を喜ばせられる」という経験は、大いにプラスになったのではないでしょうか。
学校での自分とはまた違う自分を持つことは、場面緘黙児が自己肯定感をキープするのに大切であると考えます。
~場面緘黙児の才能~開花させるためにできること
では、ここで場面緘黙児の才能を開花させるのに周りの大人ができることを考えてみます。
①場面緘黙症と「上手く付き合う」姿勢
みいちゃんのお母さんは娘の障害特性を理解して、学校に通い続けることも強要せず、「今のみいちゃんなりにできることは何か」という視点を持っていました。
「一日でも早く学校で話せるように」と場面緘黙症を治すことだけにフォーカスしたくなりますが、実際は難しいことです。
場面緘黙症は、脳からの指令で話せなくなるので、本人の意思で「明日から学校でも話そう」と思ったらできるものではありません。
ある意味、根気よく付き合わないといけない不安症です。
そのため、「できる範囲で、できることをしていく」という構えがちょうどよいのです。
話せないなら、書くコミュニケーションにする等、無理をさせない柔軟な対応を考える方が現実的でしょう。
みいちゃんのお母さんも、相当な葛藤はあったはずです。
「娘が不登校になったことに対する不安や迷い」、「本来学校に行くはずの時間をどうやって過ごすのか」など悩むことも多かったでしょう。
しかし、みいちゃんが不登校になったことをただ悲観する対応であれば、パティシエとして活躍するような展開にはならなかったはずです。
②「場面緘黙症」以外の自分を持たせる
みいちゃんは学校の自分以外に、お菓子作りをする自分を持っています。
学校で「話せない、動けない人」というレッテルを貼られて過ごすだけでは、場面緘黙児は自己肯定感を維持できず、劣等感だけが膨らんでしまうでしょう。
筆者自身は場面緘黙症時代、自分に対するイメージは「学校で話せず動けないダメな自分」でした。それ以外の「自分」を見つけることはできませんでした。
何でも良いので、本人が打ち込めるものを一緒に探してみることで本人の「やりたいこと」「得意なこと」が見つかっていくかもしれません。
そしてそれが、”将来の仕事を考える上の指針”にさえ、なってくれる可能性もあるのです。
希望を与えたみいちゃん
場面緘黙症について、メディアでも多く扱うようになったことは上述しました。
しかし、「発話や発声の機能的に問題はないが、特定場面だけで話せない病気」と説明されても、「何それ?どういうこと?」と思う方も多いかもしれません。
一方、みいちゃんの事例紹介の動画で、支持したいのは、以下のようなことです。
・再現映像ではなく、みいちゃん本人の緘黙・緘動のリアルな姿を映してる
・実際にパティシエとしてお菓子作りをしているところも映している
・つくったお菓子の写真を紹介している
「緘黙・緘動」という、ある意味不思議な病気の実態を見せて終わるだけでなく、「場面緘黙症の症状」と「才能を開花させれば力を発揮できた」ということを、セットで伝えているのが、他にはない特徴です。
もちろん誰もが、みいちゃんのようにすぐに大きな才能を開花させるとは限りませんが、場面緘黙症の子を持つ親御さんや本人にとって、みいちゃんの事例が希望となることは確かでしょう。
「我が子が、どうやら学校では話ができてないみたい」と知った場面緘黙症の親御さんは、最初とてつもない衝撃を受けます。
「話せないままだったら将来どうなるんだろう。社会で生きていくことができるのか」と悲観するのは当然です。
ですが、みいちゃんの事例のように、場面緘黙症を抱えながらも本人ができることを、活かしていくことも一つの道です。組織で働く以外にも、一つ技術を身に着けて個人で稼いでいく道もたくさんあるので、場面緘黙症だから、将来仕事ができないということはありません。
みいちゃんは将来もパティシエとして活躍することになるかもしれませんね。みいちゃんの場面緘黙症に関しての課題はまだすべて解決したわけではないですが、このまま才能を発揮していってくれると嬉しいですね。
みいちゃんは、一時期、つくるスイーツが個数的に多く、逆にストレスになっていたこともあったようです。
その後、場面緘黙症に詳しい先生と相談した結果、少し仕事を減らすようにしたとのことでした。
ストレスにならない程度に、続けていくのも大切です。
みいちゃんの動画
まとめ
筆者も、いつかみいちゃんのお店に行くことを夢見ています。
学校で話せないことだけを問題視していては、本人の自己肯定感は下がるばかりで、眠っているかもしれない才能も潰してしまうかもしれません。
「何かやってみたいことはない?」と問いかけて、ゆっくり考えさせる時間を作ればそのうち何か見つかるかもしれませんね。少しマニアックなことでも、本人がやりたいことをやって「楽しい」と感じる時間を持つことはプラスになるはずです。
「場面緘黙症の子にも、必ず伸ばせる才能が眠ってるはず」そんな認識になっていけば、私たちは、場面緘黙症に対して少し楽に構えることができるかもしれません。
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